成年後見制度は、平成12年4月に施行され、今年で10年経過しています。
ただ、残念なことに、現状としていまだ一般的に広く浸透しているとは言えず、結果として本来であれば保護されるべき高齢者や知的障害者等の権利が、侵害されてしまっている事態が発生しています。
そこで今回は成年後見制度とは何か、簡単にまとめてご紹介します。

・従来の制度では?
心神喪失状態で、判断能力が無くなった、あるいは判断する能力が弱くなってしまった方の権利保護の手段として、従来の民法では「禁治産」あるいは「準禁治産」と言った制度がありました。
ただ、これは文字通り「財産を治めることを禁じられた」と言った意味であり、その為に「能力的に劣った人」であるという誤った認識が持たれるようになってしまい、社会的にいわれのない差別を受けていました。

そこで民法が改正され、現在では禁治産・準禁治産を「後見・保佐」と制度を衣替えするとともに、軽度な認知症・知的障害と言った判断能力が不十分と認められる方を保護するため、「補助」と言う制度が加えられました。

・任意後見制度の導入
後見・保佐のいずれにおいても、ポイントは「精神上の障害により、判断能力が不十分になった後、事後的に家庭裁判所において選任される」と言う点にあります。
つまり、既に本人が判断能力を失っている状態で施行される制度である、と言うことです。

その為、本人の希望を斟酌し、その実現を図るには、困難を伴うことが多々ありました。

そこで、自分自身の判断能力が衰えた際に「財産管理」や「身上監護」を担当してくれる人と、そしてその人に担当してもらう権限の内容(内容を記載したものを「代理権目録」と言います。)を、本人が健康な状態であらかじめ契約によって定めておく制度が生まれました。
これが「任意後見制度」の概要です。

・成年後見制度とは何か?
成年後見制度には、従来の禁治産に相当する法定後見制度のほか、前述した任意後見制度があります。
ただ、根本的な違いは、法定後見制度は既に判断能力が無くなっている状態で、家庭裁判所にて選任される人が後見人になるのに対し、任意後見制度は、判断能力が無くなる前に締結された契約に基づいて、後見人が決定される点です。

任意後見制度には、自分の信頼できる人に、あらかじめ財産管理等の一式をお願いできる、と言う特徴があります。
なお、任意後見制度の契約は、公証役場にて作成された公正証書にて契約書を作成しなければなりません。