景気が未だに低迷する中、企業の合併や営業譲渡と言ったことが身近に行われるようになりました。
その中でも、「会社分割制度」は比較的新しく導入された制度と言えます。
これは企業内における一部の部門を外部に切り離し(=分割し)、他社に承継させる、と言った制度です。
企業にとっては不採算部門を売却することで、経営のスリム化を図ることができる、と言ったメリットがある半面、その部門に勤務する労働者にとっては大きな不利益に繋がりかねません。

そこで、会社分割における労働者の権利保護を目的として、労働契約承継法が施行されました。
正式名称を「会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律」と言います。
今回は労働契約の承継について、詳細をご案内します。

会社分割の場合に、労働契約が承継されるか否かは、従事している業務と分割契約書等の規定により、以下のように定まることになります。(労働契約承継法 第4条及び第5条)

例:製造部門と小売部門を経営しているA社が、小売部門を分割してB社に承継させる場合

【労働者が小売部門に主として従事している場合】
①分割契約書等に承継させる旨の記載がある場合
 B社に当然労働契約が承継されることになります。仮に労働者が異議を申し出たとしても、会社は応じる義務がありません。

②分割契約書等に承継させる旨の記載が無い場合
 原則として労働条件は不承継となり、労働者はA社の所属となります。ただし、承継に関して労働者が異議を申し出た場合は、B社に承継されることになります。

【労働者が小売部門に主として従事していない場合】
①分割契約書等に承継させる旨の記載がある場合
 原則としてB社に承継されることになります。ただし、承継に関して労働者が異議を申し出た場合は不承継となり、A社の所属となります。

②分割契約書等に承継させる旨の記載が無い場合
 労働条件は不承継となり、労働者は引き続きA社の所属となります。

以上が概要となりますが、会社分割のみを理由とした解雇や労働条件の不利益な変更はできませんので、注意が必要です。
労働条件の不利益変更が生じる場合は、労働契約法等の規定にしたがって行わなければなりません。