自己都合で会社を退職する際に、会社に「辞表」を提出することが一般的です。
その「辞表」ですが、「退職願」と書く人もいれば、「退職届」と書く人もいます。
しかし、同じように取り扱われているこの二つ、法律上は全く異なるものであること、ご存知でしたか?

「退職願」とは、労働者が雇用契約の解約を会社に対して申し入れ、それを会社が承諾した時にその効力が生じます。
つまり、「退職願を会社に提出=雇用契約の解約を申し入れる」というだけでは成立しません。
したがって、一度なされた退職の意思表示であっても、会社側がそれを承諾しない限りは、その意思表示を撤回することができるとされています。
                                        【白頭学院事件 大阪地判 平成9年8月29日】

一方で「退職届」は、一方的に雇用契約の解約を、労働者側から通告するものになります。
『解雇』が会社側からの一方的な雇用契約の解約であるのに対し、「退職届」は労働者側からの一方的な解約、つまりは『辞職』することになります。
この場合、会社側からの承諾は成立要件になりませんので、その意思表示が会社側に到達した段階で効力が生じることになります。(民法 第627条第1項)
したがって、一度なされた退職の意思表示が会社側に到達した段階で、その意思表示を撤回することはできません。

退職の意思撤回については、後日争いになるケースもままあります。
同じように取り扱われがちな「退職願」と「退職届」。
明確に区分しておく必要があります。