セクシュアルハラスメントに関しては、平成11年の男女雇用機会均等法の改正により、「職場における性的な言動に起因する問題に関する雇用管理上の配慮」と言うことで、明確な基準が盛り込まれました。(同法 第11条)

職場におけるセクシュアルハラスメントは、行為の対象とされた女性従業員の個人としての名誉や尊厳を不当に傷付けるものです。
職場環境も悪化させ、最悪の場合には女性従業員が退職に追い込まれることにもなりかねません。
一方で男性側からすれば、そうとは気付かずに女性従業員の人権や人格権を侵害していることになるのです。

そこで男女雇用機会均等法では、セクシュアルハラスメント行為に対し、職場における雇用管理上の配慮を、事業主に義務付けた訳です。
さらに平成18年の法改正で、保護対象が男性従業員に拡大されると共に、「配慮義務」がより重い『講ずべき措置』と位置付けされました。

 

「講ずべき措置=行わなければならない事項」に格上げされたことになり、セクシュアルハラスメント防止や適切な対応を実施しない事業主は、男女雇用機会均等法違反に問われることになります。

具体的に事業主が講じなければならない雇用管理上の措置とは、以下のとおりとなります。

①事業主の方針の明確化及びその周知・啓発を実施する。
事業主は職場において、セクシュアルハラスメントがあってはならない旨の方針を明確化すると共に、行った者に対して厳正に対処することを周知・啓発しなければなりません。

具体的には、就業規則等に記載したり、あるいは社内報やパンフレット等を配布し、職場の従業員の理解を得ると言った対応が必要です。

②相談・苦情に応じ、適切に対応する為に必要な体制の整備をする。
セクシュアルハラスメントの被害に遭った人が相談できる窓口を予め定めると共に、相談窓口の担当者が、その内容や状況に応じて適切に対応できるようにしなければなりません。

③職場におけるセクシュアルハラスメントに対し、事後に迅速かつ適切な対応を行う。
事業主は、職場におけるセクシュアルハラスメントの相談や申し出があった場合には、迅速かつ正確に事実の確認を行い、行為者及び被害を受けた従業員に対する措置を、適正に行わなければなりません。

これらは法的義務であり、怠った場合は男女雇用機会均等法違反として、労働局からの指導・勧告の対象となり、最悪の場合、企業名公表と言った事態にもなります。

また、民法上の損害賠償請求の対象にもなる可能性もありますので、注意が必要です。
                               
(民法 第415条、第709条、第715条)